武蔵大学の「専門ゼミナール」は,1年次の「教養ゼミナール」のあと,1996〜99年度の卒業生は,2年次冬学期から4年次夏学期までの2年間で8単位(すべて必修)を,以後新カリキュラムの卒業生からは2年次から4年次までの3年間10単位(うち4単位必修)を修得することになっていた。
柴垣ゼミでは,最初から2,3年生を合体して二分した二つの縦割りゼミを編成し,「20世紀の総括─世界経済と日本経済」というテーマで、2、3年次の夏学期をテキストの輪読、冬学期を個人研究の発表と論文の提出,という運営をしてきた。そして,ゼミ終了時に提出された修了論文は,合本にして「論文集」とし,卒業に際して配布してきた。
初期の論文集は、率直に言って玉石混淆であったが、その後論文の内容は、参考文献や資料に依拠した部分には注を付して自説の展開部分と区別する作法に欠けているものの,おおむねよく勉強したあとがうかがえるようになった。大いに敬意を表したいと思う。ここにはゼミ生諸君の最後のがんばりが集約されていた。ただ,その反面,論文提出者(単位取得者)がゼミ参加者に比べて少なくなっていったことが残念である。
実社会にでれば,どのような職業についても,あるテーマについて参考文献や資料を調べ,その上で自分の考えに基づいて何事かを主張したり評価したりする仕事が待っている。その際,ゼミナールでの論文作成の経験は,必ず何処かで役に立つはずである。ゼミOB諸君の活躍を期待したい。
以下に,各年度の論文提出者とその題目を掲げる。
韓国経済論 堀 賢史
日本の地価―バブル期から現在まで― 川島 明
公的介護保険の成立過程 橋本 優子
外国人労働者問題 米山 晶子
郵便貯金のあり方について 山本 陽子
外食産業の変貌と今後 池田 哲也
1995年度冬学期:柴垣和夫『昭和の歴史9・講和から高度成長へ』小学館,1983年
戦間期の国際資本移動―国際経済関係の変化と海外投資― 佐藤 正光
国際通貨システムの理論―金本位制から管理フロート制まで― 小久保将仁
日本とアメリカの経済 山口 晋路
日米摩擦 豊田 良太
円とドルの為替相場について 高倉 知巳
アジアの環境問題 篠原 恵太
ベトナム経済の変貌―経済改革の歩みと工業化の展望― 大川 有子
高度成長期における日本経済 斎藤 利典
財閥と新企業グループ 中野 勉
わが国のメインバンクシステム 中塩屋久美
日本的経営―日本人独自の文化と経営の関係― 宮崎 洋介
日本的経営について―終身雇用制・年功賃金制の展望― 山嵜 吉輝
日本の労務管理 大賀 徹
日本の中小企業の現状 喜多川信隆
規制緩和(ビッグバン)とその影響 石井 鉄二
流通政策としての大型店規制と独占禁止政策 厚地 崇弘
所得分配行動による不況の可能性 関口 智信
これからの医療保障はどうあるべきか 奥谷 薫平
電子マネーは貨幣に代わりうるか 斎藤 新
電子マネーによるマネーサプライへの影響 川島 優子
1995年度冬学期:都留重人『日本の資本主義』岩波書店
1996年度冬学期:河村哲二・柴田徳太郎編『現代世界経済システム』東洋経済新報社
ドル体制の歴史と展望 恩田 工
自由貿易体制の構築に向けて 大迫 誠司
World Trade Organization ―自由貿易体制の曲がり角― 中澤 直樹
欧州通貨統合 勝亦 雅人
欧州統合の歴史 奥村 美和
日米摩擦 原 正朗
再起をかける東アジア 沼田 敏史
タイ経済の特質と課題 堀ノ内享介
香港返還と日本・中国の動向 矢島 将史
企業における情報化 玉本 陽久
現代物流システム論 相田 将男
価格破壊とプライベートブランド 三谷 大地
日本版ビッグバンの証券市場への影響 鳥居 大地
金融ビッグバンと地方銀行経営の課題 豊島 裕
租税の概念及び日本人の税意識とその歴史 平井 秀幸
年金について 戎谷 拓
日本におけるビール産業戦線 中野 伸哉
東京渡邊銀行の倒産と金融恐慌 入澤 寛幸
1996年度冬学期:河村哲二・柴田徳太郎編『現代世界経済システム』東洋経済新報社
1997年度冬学期:都留重人『日本の資本主義』岩波書店
アジア急成長の源を探る 高相 栄美
アジア経済再建の現場 佐藤 悦久
中国経済 小平時代 苅込 琢史
台湾経済の発展 伊藤 隆行
北朝鮮の経済・農業・対外政策 若林 孝典
アフリカにおける構造調整 斉木 伸次
ユダヤ民族経済史 高橋 尚子
誤解が生んだ日米経済摩擦 小山 菜月
日本企業のガバナンス機能の形骸化とその改善 今井 聡
日米会社経営の比較 佐々木康英
1997年度夏学期:河村哲二・柴田徳太郎編『現代世界経済システム』東洋経済新報社
1998年度夏学期:橋本寿朗『戦後日本の経済』岩波書店
欧州統合のプロセスとユーロの導入 原武 真介
アジア通貨危機の意味するもの 高橋 浩樹
タイにおける経済発展と通貨危機 横田 剛樹
ドイモイとベトナム 野口 剛廣
経済改革の中国的特徴 須藤美那子
多国籍企業の受入国に対する影響 大橋 洋輔
これからの日本経済 山田 憲仁
メインバンクと企業集団 山下 大輔
戦間期の農業経済と財政金融政策 岡田 均
年金の将来 浜坂 龍司
1998年度夏学期:橋本寿朗『戦後日本の経済』岩波書店
1999年度夏学期:柳田侃・奥村茂次・尾上修悟編『新版・世界経済』ミネルヴァ書房
ヨーロッパ経済 橋本 直矢
EUの政治動向 石澤 孝子
ドイツ統一とEU 下山 翠
イギリス経済について 鈴木 有子
衰退期のアメリカ経済 山畑 裕史
21世紀の雄・大中国 鈴木 正樹
生保の行く末 関口 智也
[特別寄稿] 21世紀1年目の日本と世界 柴垣 和夫
1999年度夏学期:柳田侃・奥村茂次・尾上修悟編『新版・世界経済』ミネルヴァ書房
2000年度夏学期:金子勝『セーフティネットの政治経済学』ちくま新書,および同じ著
者の『反グローバリズム』岩波書店
20世紀の総括--世界経済と日本経済--
昭和恐慌と平成不況 飯岡 直樹
戦後の日本経済 金子 裕介
貿易構造の日本的特質とその役割 濱沖奈津子
日本的労務管理 西野 陽介
私が最近学んだことin 永田町 高本 華代
米国の企業年金 401(k) プランと日本への導入 岩坂 悟志
Community Currency 有松純一郎
大きく変わる損保業界 堀田 剛史
アジアにおけるNIEs 江上 嘉彦
戦略的M&A:USスチールの設立 佐藤典明
2001年度夏学期:金子勝『セーフティネットの政治経済学』(ちくま新書)および同じ著者の『反グローバリズム』(岩波書店)
2002年度夏学期:2002年度夏学期:井村喜代子『現代日本経済論〔新版〕有斐閣
20世紀の総括--世界経済と日本経済--
ユーロインパクト 富田 涼志
WTO加盟後の中国経済について 東 大樹
日本的経営の特質 鴨下 太一
変動する金融システム 梅田 俊介
中小企業の資金調達 濱松 俊英
郵政民営化:その基本構造と評価法 大澤 翔平
外食産業の動向と戦略 望月 麻樹
日本の税制における特徴と今後 稲山 雅大
企業の物流システム 青井 智之
地方分権化における地方財政改革 上野 博史
廃棄物問題 渡邊 貴史
公立保育所の民営化とそのゆくえ 岡野 佳則
2002年度夏学期:井村喜代子『現代日本経済論〔新版〕有斐閣
2003年度夏学期:末廣昭『キャッチアップ型工業化論』東京大学出版会